鉄鋼の製錬では、酸化カルシウムは主にスラグ形成剤として機能します。その中心的な機能は、鉄鉱石から不純物を除去し、鋼の純度と品質を向上させることです。
1. 脈石(主成分はSiO₂)の除去
鉄鉱石には、鉄のほかに、「脈石」と呼ばれる二酸化ケイ素などの非金属不純物が大量に含まれています。
高温では、酸化カルシウムは脈石中の二酸化ケイ素と反応して、比較的融点の低いケイ酸カルシウム (CaSiO₃) を形成します。
ケイ酸カルシウムは溶鉄よりも密度がはるかに低いため、溶鉄の表面に浮いて「スラグ」を形成します。最後にスラグを分離し、不純物から鉄を分離します。
化学反応式は、CaO + SiO₂ → CaSiO₃ (高温条件下) です。
2. 製錬環境を最適化するためのスラグ塩基度の調整
スラグの「塩基性」(塩基性酸化物と酸性酸化物の比)は、鉄鋼の製錬における重要なパラメータであり、製錬効率と鋼の品質に直接影響します。
酸化カルシウムは強塩基性酸化物です。添加するとスラグの塩基性を高め、炉内の過剰な酸性物質を中和することができます。
適切な塩基度は、スラグの脱硫および脱リン能力を高めることができます。一方、酸性スラグによる製鋼炉の炉内壁の浸食を防ぎ、炉本体の耐用年数を延ばします。
3. 鋼品質向上のための脱硫・脱リンを支援
硫黄とリンは鋼にとって有害な元素です。これらは鋼に「高温間ショート」や「コールドショート」などの欠陥を引き起こす可能性があるため、製錬中に除去する必要があります。
脱硫: 酸化カルシウムは溶鉄中で硫化第一鉄と反応して硫化カルシウム (CaS) を形成します。硫化カルシウムはスラグに溶解して排出され、鋼中の硫黄分を低減します。
脱リン: アルカリ性スラグ環境では、酸化カルシウムは酸化リンと結合して安定したリン酸カルシウム (Ca₃(PO₄)₂) を形成します。同様にスラグとともに分離され、鋼の脱リンを実現します。